『マンガでわかる統計学 素朴な疑問からゆる~く解説』を読み返してみた
冒頭の一文、「統計、難しいですよね!」から、ガッチリと心を掴んでくるこの本。
そこから私が得た最大の教訓は、(数学の)入門書は数を読め、でした。
マンガでわかる統計学 素朴な疑問からゆる~く解説 (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 大上丈彦,メダカカレッジ,森皆ねじ子
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/01/17
- メディア: 新書
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内容的には、おそらくいろいろなことが足りませんが、本来数学は「1冊だけにすべてを頼る」のが危険な学問です。(略)複数の説明から「脳内で数学が立体的に」構築されます。ですから、本書とともに、ほかの本も使ってください。
『マンガでわかる統計学 素朴な疑問からゆる~く解説』大上丈彦(サイエンス・アイ新書)5ページ
これを読んで、なるほど! と思いました。確かに、これまで読んだ入門書はどれも個性的で、同じテーマを扱いながら、それぞれ著者のこだわりというか、重きが置かれているところが違っていました。だから、数式は覚えられなくても、そういう著者の「ここだけは分かって!」というメッセージが感じられる箇所は強く印象に残ったと思います。
『マンガでわかる~』とか『マンガで学ぶ~』とかばかり買って、遠回りの無駄遣いかなあ、などと心配していましたが、全然そんなことなかった!
で、この本のおすすめポイントですが、たぶんですが、高校数Bの「確率分布と統計的な推測」についていけないとか、大学の「確率・統計学入門」が難しいという人が、教科書と合わせて読むと、理解が進むのではないかと。数Bの確率・統計はたいてい飛ばされちゃうみたいですので、文系大学生向けって感じでしょうか。
私自身はというと、ヒストグラムの重要性を叩き込まれたぜ。
おっと、マンガの口調が移っちまったぜ。
この本では、ほぼ全編にわたって正規分布への近似についての説明がなされるのですが、パラメトリックな分析の前にはヒストグラムで分布の正規性をチェック!がマストなのだというメッセージが強く伝わってきました。
ところで、残念なことに、この本にも『統計学がわかる』シリーズ(向後千春・富永敦子)と同じ間違いがあります。
- サンプルサイズ(標本の大きさ)をサンプル数(標本数)と呼んではいけません。
- 帰無仮説を採択してはいけません。
この2点だけ注意すれば、わかりやすい良書だと思います。