『マンガでわかる統計学入門』を読み返してみた
ここしばらく背伸びをして多変量解析に首を突っ込んでいましたが、数理に疎いのは相変わらずです。
そこで、初心に戻って『マンガでわかる統計学入門』を読み返してみました。
- 作者: 滝川好夫
- 出版社/メーカー: 新星出版社
- 発売日: 2016/07/15
- メディア: Kindle版
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Amazon のレビューでは評価が分かれている印象のあるこの本ですが、まずは目次を紹介させてください。
- 統計学とは?データを分析するとは?
- 統計学とは?
- 横断面データと時系列データ
- 連続型データと離散型データ
- 散布図
- データの特徴を視覚的に明らかにする度数分布表とヒストグラム
- 度数分布表
- ヒストグラム
- 相対度数・累積度数・累積相対度数
- 累積度数分布法
- データを客観的に分析する指標平均値・分散・標準偏差
- 推測統計学と記述統計学、そして確率の話
- 正規分布で将来を予測する
- 標本から母集団を推定する
- 母集団の推定方法点推定と区間推定
- 仮説検定仮説を採用するか棄却するかを決める
- 仮説検定の手順
- 母分散が既知の場合 未知の母平均についての仮説検定1
- 母分散が既知の場合 未知の母平均についての仮説検定2
- 母分散が既知の場合 未知の母平均についての仮説検定3
- 仮説検定の方法片側検定と両側検定
- 片側検定
- 両側検定
- 母分散が未知の場合の仮説検定
『マンガでわかる統計学入門』滝川好夫(新星出版社)2~5ページ
教科書みたい、と思ったあなた。
正解です。
「女子大生が、統計学の単位取得が危うくなって、姉から教わる。」
という薄いストーリーからも窺えますが、よくある大学の(基礎)統計学のカリキュラムって感じですよね。今まで紹介した「マンガで~」には著者のここだけはわかってほしいという強いこだわりが感じられるポイントがあったのに対し、この本にはそういうポイントがありません。
著者が金融の専門家なので、加重平均の説明とか他の本にはない特徴もあるにはありますが、著者の想いが込められているという程のものではありません。
あえてこの本のこだわりを挙げようとするなら、網羅的であること、
これに尽きます。
そして全239ページの、薄いとはいえストーリーにもコマが割かれるマンガで網羅的であろうとすればどうなるか、言うまでもありませんね。
この本では、項目ひとつひとつの説明がギリギリまで刈り込まれているのです。
だからこの本の価値は、帯にあるような
ではありません。説明が短かすぎて、この本を読んだだけでは身につける以前に理解ができないでしょう。
よってこの本の価値は、既に統計学を勉強している人(主に初学者)が「○○ってどうだったっけ?」と思ったときにササっと確認できるポケットレファレンス的な使い勝手にある、と断言しちゃいます。
2ページ121語の索引ではやや物足りない感がありますが、上に挙げたように目次も細かいので、目次であたりをつけて本文をパラパラとめくれば、朱色にされたキーワードが目に付き、割と簡単に目的の説明に辿りつけます。数式も朱色の枠に囲まれて、見やすくなってますし。
そんなわけで、他にレファレンス性のよい入門書を持っていないマンガ好きの人にならお勧めできるかな、と。