統計検定2級の設問を分類→集計してみた4
統計検定2級の設問を分類→集計してみたシリーズの第4回です。
今回は、「解答番号」*1を合計してみました。
そんなもん集計して何の意味があるんだと言われそうですが、大まかに言って後半になるほど、つまり「解答番号」が大きくなるほど難易度が上がる傾向にありますので、これをもって難易度を測る目安にしようという訳です。
まあ、必ずそうだとは言えませんので、あくまでも目安の一つと思っていただきたいですね。
2012年~2018年6月の項目別解答番号合計
小項目 | 項目 | NOの合計 |
---|---|---|
仮説検定 | 独立性の検定 | 545 |
仮説検定 | 母平均の差の検定 | 394 |
回帰分析 | 重回帰モデル | 322 |
確率変数 | 確率変数の期待値・分散・標準偏差 | 295 |
実験計画の概念の理解 | 分散分析 | 252 |
推定 | 正規母集団の母平均の区間推定 | 239 |
推定 | 母比率の区間推定 | 224 |
仮説検定 | 母平均の検定 | 194 |
標本分布 | 標準正規分布表の利用 | 162 |
仮説検定 | 母分散の比の検定 | 145 |
標本調査と無作為抽出 | 標本抽出法 | 143 |
単回帰と予測 | 観測値と予測値 | 142 |
仮説検定 | 適合度検定 | 131 |
確率 | ベイズの定理 | 131 |
確率分布 | 二項分布 | 120 |
標本分布 | 標本平均の期待値・分散 | 120 |
確率 | 事象と確率 | 119 |
散布図と相関 | 散布図 | 119 |
散布図と相関 | 相関係数 | 117 |
回帰分析 | 回帰係数の検定 | 116 |
仮説検定 | 第1種の過誤と第2種の過誤 | 104 |
単回帰と予測 | 決定係数 | 99 |
単回帰と予測 | 回帰係数 | 97 |
中心傾向の指標 | 平均値 | 93 |
単回帰と予測 | 分散分析表 | 88 |
確率 | 加法定理 | 86 |
確率分布 | ポアソン分布 | 86 |
推定 | 信頼区間 | 83 |
確率 | 乗法定理 | 82 |
仮説検定 | 帰無仮説(H0)と対立仮説(H1) | 81 |
標本分布 | 二項分布の正規近似 | 80 |
回帰分析 | 回帰直線の傾きの推定と検定 | 70 |
回帰分析 | ダミー変数を用いた回帰 | 69 |
確率変数 | 2変数の共分散・相関 | 67 |
回帰分析 | 自由度調整(修正)済み決定係数 | 65 |
散らばりなどの指標 | 箱ひげ図 | 63 |
時系列データの処理 | 指数化 | 61 |
確率分布 | 一様分布 | 57 |
仮説検定 | 検出力 | 56 |
確率分布 | ベルヌーイ試行 | 52 |
単回帰と予測 | 標準誤差 | 51 |
推定 | 一致性,不偏性 | 48 |
仮説検定 | 仮説検定の理論 | 47 |
標本分布 | カイ二乗分布 | 43 |
確率変数 | 確率変数の和と差 | 40 |
データの分布の記述 | 度数分布表 | 40 |
確率分布 | 幾何分布 | 39 |
中心傾向の指標 | 中央値 | 39 |
実験 | フィッシャーの3原則 | 38 |
中心と散らばりの活用 | 変動係数 | 37 |
散らばりなどの指標 | 標準偏差 | 37 |
カテゴリカルデータ | 2元クロス表 | 35 |
散布図と相関 | 層別した散布図 | 35 |
中心と散らばりの活用 | 標準化(z得点) | 33 |
単回帰と予測 | 変数変換 | 33 |
単回帰と予測 | 残差プロット | 33 |
仮説検定 | 両側検定と片側検定 | 31 |
時系列データの処理 | 系列相関 | 31 |
時系列データの処理 | コレログラム | 30 |
確率 | 条件付き確率 | 28 |
推定 | 母比率の差の区間推定 | 28 |
仮説検定 | 母比率の検定 | 28 |
時系列データの処理 | 成長率 | 27 |
散らばりなどの指標 | ジニ係数 | 27 |
推定 | 母分散の区間推定 | 23 |
散らばりなどの指標 | ローレンツ曲線 | 21 |
推定 | 推定量と推定値 | 21 |
散らばりなどの指標 | 四分位範囲(四分位偏差) | 19 |
データの分布の記述 | ヒストグラム | 18 |
データの分布の記述 | 分布の形状 | 17 |
標本分布 | 分布表の活用 | 17 |
標本調査と無作為抽出 | 偏りの源 | 15 |
時系列データの処理 | 平滑化(移動平均) | 13 |
観察研究と実験研究 | 観察研究 | 13 |
時系列データの処理 | <階差系列> | 11 |
観察研究と実験研究 | 調査の設計 | 9 |
時系列データの処理 | トレンド | 7 |
散布図と相関 | 共分散 | 5 |
データの分布の記述 | 幹葉図 | 5 |
散布図と相関 | 偏相関係数 | 5 |
時系列データの処理 | 幾何平均 | 3 |
データの分布の記述 | 質的変数(カテゴリカル・データ) | 1 |
データの分布の記述 | 量的変数 | 1 |
独立性の検定が第1位になりましたが、前々回お話ししたようにカイニ乗検定に関する問題は、基本を押さえておけば決して難しくはありません。
いきなり、上の集計の信憑性が揺らいでしまったようですが、前回お話しした確率変数の期待値・分散・標準偏差が第4位に食い込んでいるあたり、難易度で重みづけした設問数という見方も、あながち間違いではないのではないでしょうか。
さて、今回注目したいのは第2位の母平均の差の検定です。
出題回数では5位タイ、設問数では第3位と、上位をキープしてきましたが、難易度で重みづけしたところ、第2位(独立性の検定の問題が難しくないので実質第1位)になりました。
細目を見ると、
試験日 | NO | 小項目 | 項目 | 細目 |
---|---|---|---|---|
2018年6月 | 24 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2016年11月 | 28 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 対応のある2標本 |
2016年6月 | 28 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2015年11月 | 27 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 対応のある2標本 |
2015年11月 | 28 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 対応のある2標本 |
2014年11月 | 19 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2014年11月 | 20 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2014年11月 | 21 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2014年6月 | 16 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2014年6月 | 17 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2013年11月 | 19 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2013年11月 | 27 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 対応のある2標本 |
2013年11月 | 29 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 対応のある2標本 |
2013年11月 | 30 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2013年11月 | 31 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
2012年11月 | 30 | 仮説検定 | 母平均の差の検定 | 等分散を仮定した2標本 |
出題は
- 対応のある2標本によるt検定
- 等分散を仮定した2標本によるt検定
に二分されていることがわかります。
対応のある2標本におけるt検定量を求める数式
( は差 の標本平均、 はその不偏分散、 は通常は0)
と、
等分散を仮定した2標本におけるt検定量を求める数式
は、何も見ずに書けるくらいきっちりと覚えておきましょう。
うろ覚えだと、選択肢に騙されてしまう設問(過去問)が多いのです。
*1:「解答番号」は、解答欄に付されている通し番号のことです。解答選択肢の番号のことではないので、ご注意ください。