『マンガでわかる統計学 回帰分析編』に従ってExcel分析ツールの重回帰分析の結果を読んでみた2
前回は重回帰分析のstep1からstep3までを行なってみました。
今回は、step4からstep6までをやってみたいと思います。
ATTENTION!
前回もそうでしたが、この記事のコンセプトは分析ツールの出力結果の読み方を注釈することにあります。
『マンガでわかる統計学 回帰分析編』に書かれているとても重要な手順だったり注意点だったりはスッパリ割愛していますので、ご承知おきください。ていうか、ぜひ本を読んで直に確かめていただきたいな、と。
偏回帰係数を包括的に検討する検定
『マンガでわかる統計学 回帰分析編』123ページでは、重回帰分析の「偏回帰係数の検定」は単回帰と違って以下の2種類がある、と説明されます。
- 偏回帰係数を包括的に検討する検定
- 偏回帰係数を個別に検討する検定
124ページに記載されているF検定統計量を求める数式は、
ですが、計算に使う統計量はすべて分析ツールの実行結果で確認することができます。
まあ検定するだけなら、
ここだけ見とけばいいんですけどね。
偏回帰係数を個別に検討する検定
こちらは行列の計算が必要(=私の限界を超える)なので、数式の紹介は割愛させていただきます。分析ツールの実行結果では、F検定ではなくt検定の結果を確認することができます。
125ページには、
「(引用者註:検定結果がどうであれ、F値が)2以上ならば、その偏回帰係数に対応する説明変数は目的変数の予測に役立っている」と解釈する慣習があるのよ。
とあるので、
と言えます。F=t2については、以下をご参照ください。
信頼区間と予測区間の推定
項目立てしておいてなんですが、実は、分析ツールの「回帰分析」では区間推定の計算はされません。P値の右に
とありますが、これは偏回帰係数と切片の信頼区間で、この値から母回帰が推定できるわけではありません。*1
というわけで、『マンガでわかる統計学 回帰分析編』に従ってExcel分析ツールの重回帰分析の結果を読んでみたはこれにて終了。
なんとも締まらない企画になってしまって、面目ないです。
エクセル、バグってる!
尻すぼみ・・・と思ったのですが、マンガパートの後の137ページに標準化残差の説明があるじゃないですか!
しめしめ、分析ツールのオプションにも標準化された残差があるぞ。さて♪ 結果は?
って、あれあれ?
っていう間違いはご愛嬌にしても、標準化残差の値が違っちゃてるよ!?
標準化残差は残差を残差の標準偏差で割ったものです。
残差の標準偏差=標準誤差ですから、
よって、標準化残差は
で求まります。答えは0.647603228。なのに、分析ツールの実行結果は、0.734313039。
計算してみたらExcelさん、残差分散を
で求めちゃってましたよ。あ~あ、やってくれちゃったなあ。
まさか、こんなオチになるとは・・・ *2